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第49話  

森岡は、美咲の悲鳴を聞いて、いてもたってもいられなくなった。

 街中は車で溢れかえっていたが、そんなことはお構いなしに、彼は猛スピードで車を走らせた。

 何台もの車を追い越し、何度も接触事故を起こしそうになったが、神レベルのドライビングテクニックで、ことごとく回避していた。

 金碧輝煌カラオケ。

 地下1階の個室。

 鈴木万里は、トイレのドアをノックしていた。

 中に入った美咲が、なかなか出てこなかった。薬の効果が出始めた頃だろう。彼は、ドアをこじ開けようと決意した。

 あんな極上の女子大生が、もうすぐ自分のものになる。そう考えると、万里は興奮を抑えきれなかった。

 今日まで、あれだけの時間と労力をかけて準備してきたのは、この瞬間のためなのだ。

 何度かノックしたが、返事はなかった。

 万里は、もう待つことができず、ドアを蹴り破った。

 美咲が電話をかけているのが目に入った。万里は、数歩駆け寄ると、美咲からスマホを奪い取り、電話を切った。そして、彼女の腕を掴んで、無理やりトイレから引きずり出した。

 個室に戻ると、他の男たちが、それぞれ獲物に襲いかかっていた。

 万里も我慢の限界だった。彼は、美咲の後ろから抱きついた。

 薬を盛られた美咲は、抵抗する力もなかった。仮に薬を盛られていなくても、屈強な男の力には敵わないだろう。

 美咲は、絶望に打ちひしがれていた。

 美咲は個室に引きずり込まれた。

 彼女の友人たちも、男たちに弄ばれていた。

 彼女たちは意識ははっきりしているのだが、体は全く動かなかった。なすすべもなく、男たちの言いなりになるしかなかった。

 美咲は、これから自分たちがどんな目に遭うのか、容易に想像がついた。

 トイレから引きずり出してきた男は、すでに美咲を後ろから抱きしめていた。彼女は必死に抵抗したが、無駄だった。

 その時だった。

 個室のドアが、外から乱暴に開け放たれたのだ。

 そして、20人以上のガードマンが、手にスタンガンを持って部屋に入ってきた。

 「全員動くな!動いたら、頭をぶち抜くぞ!」

 金碧輝煌カラオケの支配人、石川虎が、部屋に入ってきた。

 個室にいた全員が、恐怖で凍りついた。誰も動こうとしなかった。

 「山下美咲さんは、どなたですか?」石川は尋ねた。

 「私です!私が美咲です
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